神崎ミリアムの掃き溜め

二ノ国の二次創作メインです。たまにモンスト等も。

【二ノ国】すくうしずくはあまりにもあたたかく

おはこんばんちは〜!神崎ミリアムです…!
二ノ国2…いきなり東方Project並にキャラが増えたので2人くらい性癖を抉ってくるやつがおりますね?

今日は、明日のことすら思い悩むジェラルドさんの話を書かせてください。


それではゆっくりしていってね!!






すくうしずくはあまりにもあたたかく


カーテンの隙間から、また今日も太陽が顔を見せた。
生きている。今日もまた、みっともなく。
ゆっくりと身体を起こしてから、オレは枕元に置かれたぬいぐるみを見やった。
それは恐らく二十そこそこの男が持つようなものでもないだろう。なぜならそれは、もう酷く薄汚れているクマのぬいぐるみなのだから。
体の節々は虫に喰われたらしく、そこからは綿がはみ出している。ボタンで出来た片目は取れかけていて、もう片方はもう既に行方知らず。
それは、オレを産んだ母親が今際の際にオレに託した、最期のプレゼントだった。
彼女が没したのはたしかオレが5歳のときだったか。物心こそつけど、やはり記憶は薄いものだ。
母は、値札が付いたままのクマのぬいぐるみをオレに贈ってくれた。それも、誕生日に。
クマのぬいぐるみには、『ステラ』と名付けていた。
それは母の名前だったか、あるいはその日に発生していた流星群の名前だったかも、やはり覚えているわけが無い。
そんな幸せも束の間に、母は果てた。
体には無数の傷跡や陵辱されたとおぼしき跡。
その日まで吐き戻していたのは、体を売っていた時に孕まされた為のつわりに起因することを知ったのは、オレが12のときだったのを覚えている。
彼女は、オレにぬいぐるみを買うために身体を張り続けていたのだ。


母が死んだその日より、オレの命は新しい家の者に握られ続けていた。
ゴロネールのスラム住まいの母子暮らしだったオレは、その後マーウ族の貴族の屋敷に引き取られた。
もちろん、薄汚いスラム育ちの子供にいい暮らしなど出来るわけがなく、前より幾分かはマシな物になったがそれでも暮らしは楽にならなかった。
もちろん機嫌を損ねれば、背中に熱く焼けた鉄の棒を押し付けられた。
前を横切ったら鞭打ちを、後ろにいると知られればパドルで打たれる。

今思えば、それは虐待とか折檻とか、そういった類の暴力だったのだろう。
許されてはならないことかもしれないが、当たり前だったのだ。
オレが思春期を迎え、精通を迎えた頃には、奥様の夜の御相手もさせられた。
意味は違うが、男娼と言うやつなのだろう。
オレが望まなくなっても、なお主人たちはオレをおもちゃや道具として扱い続けた。
気がつくと、目の前が真っ暗になって、母親が見えたのだ。
体感としての気温が低くなっていく。
いつも朧気にしか記憶していられなかった母の声が、聞こえてきた。
こちらへ来いと手をこまねく母の姿が。
訳が分からなくなって、オレの声はとうとう対話を忘れてしまった。
夢の出来事は、もれなく現実のオレ自身にも異変をもたらし、夜の御相手の時には、勃つものが勃たなくなった。
声も出なくなり、僅かばかりに出される食事ですら吐き戻すようになった。
そうしてオレは、貴族たちの手でぬいぐるみと共に風蛇の谷へとうち棄てられた。それは、15の時。谷には、ちょうどあの時と同じような流星が降り注いでいた。




できる限り高いところから飛び降りようと決意して、オレは谷を登っていく。
たまに湧き水が漏れでる泉があったり、ニードルフの類がいてくれたこともあって、オレはそれらでどうにか食いつないでいた。
どうにか谷を登って行くと、誰かに捕まった。
気がつくとオレと同じくらいの、青年ふたりがボウガンを構えて、オレを射殺さんとするべくして立っていた。
片方は飄々としていてほっそりとした緑髪の青年。
もう片方は筋肉質で強面な黒髪の青年。
思えば、このふたりは後に出会う事になるカリューとグラードに似ていたと思う。確証はないのに、思い出すとその姿には共通性が見られる。

「やっと、楽になれる…」

久方ぶりに出た言葉は、そのどうしようも無い喜びゆえだった。
やっと、楽になれる。忘れられる。赦される時が来たようだ。
あまりの嬉しさに、安堵が訪れたらしい。
意識はそこでまた途切れたのを覚えている。

「……かしら!…をさま…たぜ!」

途切れ途切れながらも、感覚が戻ってきた。
ゆっくりと手を動かせば、体の上には粗末ながらも毛布がかかっており、オレはご丁寧にも寝かされていたということを確認した。

「おお、目を覚ましたか!」
低い声が、オレに近づく。足音とともに、男がやってきた。


その後の記憶は、もうない。暴力を振られた故のトラウマがそうさせたと言うよりも、魔法による記憶加工によるものだろう。もはや男の顔も覚えていない。
傷跡を隠すために、インナーの上からシャツを着て、それからコートを羽織る。
自分の心象風景を示すような黒。
飾りっけなどひとつもない、無地の黒コート。
鏡の向こうのオレは、それを着ながらまた顔を曇らせていた。
未来など、あるわけないのだ。
期待なんて、以ての外。
必死に自分の顔に笑顔を貼り付けてから、オレは外へ出た。



「ねえジェラルド」
外を歩いていたら、ビットとすれ違った。
オレと同じ位かそれ以上の無愛想と評される彼は、やはりいつも仏頂面で。
しかしその目は確実にオレをじっと見ていた。
「表情筋死んでるよ」
「あ、ああ…済まない、考え事をしていてな」
簡潔かつハッキリとした彼の言葉に、慌てて口角を上げた。
当たり障りもない返事さえしておけば追求なんてされないだろうなんて信じて、オレは逃げるように踵を返した。
…そうしようとした所で、ビットにしっかりとコートの裾を掴まれてしまったのだが。
「考え事とかそんなんじゃないでしょ」
彼の語気が鋭くなった。
考えてることをどうにか気取られないように、笑顔をまた貼りつけようとしたら、ビットはブキリングから槍を取り出して、柄でオレを小突いた。
「ボクは伊達に天才って呼ばれてる訳じゃないから。仲間の苦悩ひとつ見抜けないで天才なんか名乗れるわけないだろ?」
フフン、としたり顔でそう宣言する彼は、確かに紛れもない天才だ。……言葉に多少のトゲがあるだけで、彼は自覚できるほど本当の天才なのだ。
分かったらボクと来て、なんて言いながら、彼は槍をしまう。
もちろん、オレのコートの裾を引っ張りながら。





彼くらいの年頃の子供は、自覚できるほどに幸せだったり優秀な人なのだろう。
耳の奥に、幼い自分の悲鳴が蘇る。
本当は、どうして欲しかったんだろう。母も、オレも。
ふと湧き上がる寂しさを紛らわせながら、ふとした瞬間に起こる恐怖から逃げながら、オレは自分の願いをどこへ捨ててきてしまったんだろう。
ビットは天才だが、まだ心身は未熟なのだ。
彼にさえも諭されるということは、オレはどこまでも未熟で、矮小ということなのだ。
誰かに縋ることさえ忘れてしまった。助けて欲しいと、いつ言えたのだろうか。

そんなこんなしているうちに、オレたちはラビリンスの前に辿り着いていた。
「さ、行こ」
ビットは躊躇すらなくラビリンスへと突き進む。
転移渦流の前に立つと、彼はオレが来るのを待ってから二人で転移させてしまった。

おぞましい空気が、肌をピリピリと刺激する。
いくらポンゴさんの加護がついているからと言っても、魔瘴気はやはり嫌なものなのだろう。
盾を構えて、オレは索敵のためのバイザーを起動する。
「八時の方向、およそ六十コンマ五。ニードルフ系が二体。」
「さすがボクの作った索敵バイザー…こんなジェラルドでも察知できるなんて最高だね」
こんな、と彼は言い放つが、悪びれる様子などひとつもなかった。
「ガジェットにて掃討、いいか?」
「りょーかい」
二人で最小限の会話を終えて、オレは以前イライザに託された試作品のガジェットの端末をいじって、インパクトコールを試みる。レーザーにて位置を指定してから、圧倒的物量のそれが落ちてくる。下手をすれば床すら抜けそうなものだが、壊れないのが不思議だ。
「バイザーからは反応が消えたが、奥に大きな反応がある。倒すか?」
「いや、いいよ。帰ろう」
何故か、ビットにしては珍しく、帰ることを提案した。
仕方が無いのでベースキャンプへと戻ると、そこにはガットーさんが仁王立ちで立っていた。


顔は夜叉、纏うオーラは亡霊王。
もはやそのくらいの恐ろしささえ感じられるような怒りが、彼から感じられた。
「どうして、二人きりでラビリンスに潜った」
「ボクの索敵用バイザーのテスト。これがあればボクらも魔瘴気モンスターに対処しやすくなるからね」
「ビット、お前の言い分は分かった。まあそれはラビリンスじゃなくて平原でやれよ?………ジェラルド、お前は?」
ガットーさんの言葉に、急に息が苦しくなった。
心臓を物理的に掴まれたような苦しさが襲う。
あの時と同じような、恐怖。
「どうして、止めなかった」
止めなかったんじゃない。止められなかったのだ。
それすら言えない。震える身体が、声を出すことすら許さない。

「死に場所でも欲しかったのか、ええ?」

正鵠を射るその言葉が、また突き刺さる。涙が止まらない。助けてとも言えない。ただただ蹲り、震えているばかり。
発作にも近いそれが、体を支配した。
「ビット、おめえは先に戻っててくれ。オレはこの小僧をどうにかしてから帰る」
「ああ、うん。そのバカ、筋金入りのトラウマ持ちだから気をつけてね」
ビットはオレをバカと形容して悪態をつくように笑ってからエスタバニアへと向かった。
ベースキャンプには、オレと彼の二人だけ。
本当に静かな空間では、息の音すら騒音のように聞こえた。

「ジェラルド、苦しかったか?」
思いがけない問いかけに、思考が絡まってしまう。
これは、どういう事なのだろう。
ガットーさんは、オレに歩み寄ってからゆっくりとオレの傍で膝をついた。
「お前がコートを着込むのは、その服の下のせいなんだろ?」
大丈夫だ、違う。傷なんてものはないぞ。なんて言えるわけがなく、何も言えなくなったまま、また震えている。
「ビットから聞いたんだよ。お前があんまりにも自分のことを話さねえから、無理やり経歴を漁ったらってよ」

お前はずっと家族を知らないまま生きてたんだな。

ガットーさんの言葉は、まさにそうだった。
本当の家族が何たるかを知らないまま、その幸せを知らないままで生きてきたのだ。
「だから警戒もするし懐疑的にもなる。感情は簡単に表には出ねえし勃つもんも勃たねえよな」
「それは、あの」
「大丈夫だぜ?何言ったってよっぽどじゃない限りは怒らねぇよ」
ガットーさんの声が、優しくなった。

「誰かに、ただ、許して欲しかった。誰でもいい、何だっていい。ただ、ただ、誰も犠牲になることもなく愛されたかった。当たり前のようにあるものが、欲しかった。」

ジェラルドの当たり前は、ニーアのそれにも似ていた。
それでも彼は隠してきた。自分など助からなくていいのだと、絶望は一周まわって諦観と化し、彼の目からは光が消えた。
結局、被虐者の呪いは付きまとう。何年経とうが、彼を縛り付けて離すわけがなく、それは死ぬまで彼を苦しめる。

「でももうそんなものはないのだから、オレは死ぬまで孤独でいればいい。オレには、願う資格もない」

縋ることを忘れた彼は、オレには触れない。
大丈夫、貴方にはニーアさんとシャーティーさんがいる。
オレには、何もいらない。
彼は、ただひたすらに突き放す。

「願っていいに決まってんだろ?馬鹿だな!なんなら俺がお前の父親になってやってもいいんだぜ?」
「えっちょっえっ待っ」
ジェラルドに冗談混じりでそう告げたら、何故か言葉を盛大に詰まらせてひっくり返った。
「…………冗談だよ…………」
「いきなりシャレにならない冗談をぶち込まないでくれっ!!!!」
慌てながら俺の胸をポカポカ叩くジェラルドを見て、少しだけ安心した。
それでも、彼の中の孤独は抜けてはくれないのだろう。

願ったって、いいんだ。彼がそう理解するまでに、一体何年かかるのだろうか。





世界は、彼を幸福にするにはあまりにも残酷すぎたのだった。









(その後、オレの元に古に捨てられた大量殺戮兵器がやって来て掻き回していくのだが、それはまた別の話なのだ)






もし良ければ占いツクールで「薫風」という二ノ国の二次創作夢やってるのでぜひ良ければ、どぞ。

【二ノ国バイオハザード】死者

皆さん、おはこんばんちは!神崎ミリアムです、はい。
最近投稿出来ず、申し訳ありません。
なのでpixivから、バイオハザードとのダブルパロ小説を載せます!!今回も相変わらずグロいです。気を付けて下さいね!!
それでは、どうぞ!




ババナシア王国にて
side.マル

オリバーがレイナスを正気に戻してから、世界は平和になった。
灰に侵されて被害の大きかった故郷、ババナシア王国も徐々に活気を取り戻して、今ではまた商人の元気な売り声や音楽が聞こえてくるまでになっている。そんな故郷に戻った私は、店先でハープをいじっていた。
爪弾くごとに甦るのは、オリバーたちと旅をした記憶ばかり。
ロン、ロンとかきならすと、やはりこの美しい音をまた皆に聞かせたいと思う。私は顔をほころばせて、旅の思い出に浸る。
すると、視界の端に何か赤いものが映る。
気のせいだろうか。そう思い、家の中に戻ろうとすると、急に周りが薄暗くなった。
見上げると、空は灰が降ったあの時のように曇っていた。
赤いものは灰だった。
赤い灰が降ったその時、突然周りの人達が1人、また1人と倒れ始めた。
倒れなかった人も居たが、彼らもまた異変を感じ取っていたらしい。倒れた人を介抱しようとしていた。
以前灰が降ったときは全員異形の魔物に変化したが、今回はどうなのだろう…そう思い暫く周りを見渡していると、悲鳴が上がった。
悲鳴の主の元まで行ってみるとそこには、


人が、人を噛み殺していた。

辺りには、おびただしい量の血液が撒き散らされていた。
私は、あまりの光景に吐気を覚える。
それでももはや動くことのない悲鳴の主を見ると、何故かあちこちが噛みちぎられている。首は特に酷く、骨が見える程だった。
すると、低い呻き声が聞こえた。それも至る所からだ。
私は、ハープを握りしめ、家に逃げ込もうと走り始めた。


家まであと少しという所で、大量の人に囲まれてしまった。口元が血で汚されており、身体の至る所が腐り落ちている辺りを見ると、灰によって倒れてしまった人達の末路なのだろう。
恐怖のあまり、指が動かない。
ああ、私はここで死ぬのかな…
せめて、オリバーたちに会いたかったな。
私は、死を覚悟して、目を閉じた。

「諦めないで!」
突然そう言われたかと思えば、まばゆい光が差し込んできた。誰かの光魔法だろうか、光が収まった頃に目を開けると、そこには緑の長い髪に白い長マント。
レイナスがそこに居たのだった。








ババナシア王国、マルの家にて
side、ジャイロ

「…という訳なの」
一通り俺達が来るまでの話を聞いた時、俺はある考えが浮かび始めていた。
もしかしたら、ゴロネール王国も灰に侵されているかもしれない。
何しろ、以前灰が降ったときも、ゴロネール、ババナシア、ボーグの三国に降っていたからだ。
すると、レイナスが懐から手帳を取り出した。
「そう言えば私、道中でこんなものを拾ったんです。この中には、あの赤い灰の事について書かれていました。何か分かればいいのですが…」
その黒い手帳は、砂ぼこりで汚れてはいたが、とてもしっかりとした素材で出来ていた。砂ぼこりを払って読んでみると、几帳面な字で書かれた日記であった。


『○月○日
たまたま行った異世界で、驚くべき物を見つけた。
それは活性死者、いわゆるゾンビである。このゾンビはT-ウイルスというものに感染した人間の成れの果てで、特徴は以下の通り。
その1、身体が傷つきにくくなる
その2、その副作用で知性、理性などが無くなる
その3、同じく副作用で、大量の食料が必要になる(なお、この時の食料は人肉も含まれる)
破壊するには、頭、脳のある所を撃ち抜いたり、切断するなど、とにかく生命活動を停止させること。これを、古の禁呪「聖灰」に組み込めば、世界を滅ぼすことも夢ではない』
一ページ読んだだけで、吐き気がしそうだった。異世界にはこんな胸糞悪いものがある、そんな事実が憎たらしかった。
更にページをめくると、今度は怒りしか湧かなくなった。
『これは、復讐に使える。僕の母を、父を殺した奴らをゴミに出来る。』
持ち主はどうやら復讐をしたいらしく、あとは彼らに対する恨みつらみばかりであった。
「…これは、止めなければならないでしょうね。」
ラースがぽつりと呟いた。
するとそれに加勢するように、
「そうなると、オリバーを呼ばなきゃ、だよね。」
とマルが言った。だが、問題は誰がゲートのルーンを描くかだった。
レイナスとラースは描けるが、発動させたことは無い。ある意味賭けに近いものだ。
「ルーンを描きましょう、話はそれからです。」
俺が考えているとき、決意した顔でレイナスが言った。
全く、どうにでもなれ。
そう投げやりな気持ちになった時、ゲートが開き、俺達は一ノ国へと走り出した。


続く



ごめんなさい、レイナスが男らしい。

【二ノ国二次創作】二ノ国+バイオハザード

おはこんばんちわ、神崎ミリアムです。

今回はpixiv に載っけている小説シリーズの1話をのせます。

そして、グロテスクな描写があるのでご注意下さい。

それでは、どうぞ。

注意:この小説はバイオハザードシリーズの設定を入れながら作られたダブルパロディ作品です。
作者の調査不足&キャラの都合上登場するクリーチャーは基本ゾンビのみです。
描写不足により、ここわからんというところがおそらく有ります。そしたらコメントにてお知らせくださいませ。

それでは、どうぞ。

 

[あらすじ]

灰の女王を倒し、平和になった二ノ国。人々は平和な生活を楽しんでいた。
マルは父・ソロンの店を手伝い、ラースは皇帝として国の再建を進めた。ジャイロはラースの使いとして人々に物資を分け与えたり、他の国や町とのパイプ役となり国の再建を手伝っている。シズクはニコとプッチとともに後進の育成にあたっていた。
だが、その平和も長くは続かなかった。

二ノ国の多くの国、町に赤い灰が降り注いだのだ。

すると住人は瞬く間に生きる死者と化した。彼らは生き残った人々を噛み砕き、恐るべきスピードで増えていった。
そんな二ノ国を救うために、そして生き延びる為に、オリバーたちの闘いが今、始まる___!

 

 

side .ラース、ボーグ宮殿の自室にて

「ラースっ!」
そう言って乱暴に扉を開ける男は一人しかいない。ジャイロ__私の兄で、今は部下でもある。
ジャイロもとい兄さんは扉を閉め、息を切らしながら愛銃・リアルフェイクを構えていた。
「ラース…一旦テレポートでマルのとこ行くぞ」
何があったのだろう。銃を握り、そう告げる彼の手は激しく震えていた。兄さんの様子を見る限りこれは一刻の猶予も許さない状況なのだろう。最近は公務以外では外出しない私は街の様子が気がかりだった。
「お前、剣術か槍術習ってたよな?」
「…剣術なら」
兄さんは私の答えを聞くと、腰に下げていた双振りの剣のうち片方を鞘ごと私に投げた。何故か剣には血が付いているが、気にすることはできなかった。
確かに習ってはいるが、敵を倒すためというよりは王族のたしなみのような感じで習っていたため、あまり上手ではない。…魔法が効かないのだろうか。
そう思案していると、兄さんは私にテレポートを発動させるよう合図してきた。
テレポートを発動させる簡易的な詠唱を最後に、私たちはボーグ宮殿を後にした。

 

side .ジャイロ、ババナシア王国にて


俺たちがテレポートした先は、仲間の一人、マルの故郷であるババナシア王国だった。
砂漠地帯のオアシスで、いつもならば商人や人々の声や音楽で賑わうこの街も、既に赤い灰の餌食となっていた。…手遅れだったか。
さすがのラースも言葉を失う。自分の知らない間に街が得体の知れぬ何かに侵されていたのだから無理もない。
俺は銃を改めて握り直して、マルの家へと向かった。
街の中を歩いて見る限り、生き残った人は見つからない。建物の中にこもっているのだろうか、街はとても静かだった。
聞こえてくるのはあの生きる死者どもの低いうめき声位で、何も聞こえて来ない。不自然な位に、だ。
そして、多くの人が被害に遭ったのか、建物の外壁にはおびただしい量の血が付いていた。どうやら被害は想像以上に大きいらしい。
うめき声は聞こえてくるが、彼らは現れない。現れないに越したことはないが、それが一層不自然だった。
すると、ラースの背後に迫る死者の姿が見えた。ラース自身は気付いていない。人を撃ちたくはないが、仕方ない。俺は銃口を死者の頭に向け、照準がぶれないうちに引き金を引いた。
その後、ラースの手をとりマルの家へと急いだ。今はマルの家に着けばそれでいいのだから。最早頭は考えることをやめ、マルの家に一刻でも早くつくようにと足を速めていた。
無事でいてくれ、頼む。お願いだから、喰われないでいてくれ。祈る気持ちで着いたとき、マルは店先で手を振っていた。彼女は何時もの美しい花飾りのついたハープを抱え、息を切らしていた。
その隣には、白いマントに白銀の冠、緑の長い髪をまとめた碧眼の女性がいた。
レイナス、古代の王国の女王であり、強大な力を持つ魔法使いでもある。彼女が動くと言うことは、もしかして二ノ国は…。
俺はそこで再び考えることをやめた。俺たちはマルの家の中に入った。

(続く)

はじめまして。

どうも、神崎ミリアムと申します。ここでは二ノ国の二次創作や日々の出来事などを描いていきます。

一応pixivやってました。ですが、退会させられそうなので、かいてた小説の続きを載せていきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

あいさつついでにモンストよりジョン万次郎を。

 

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